今回の記事では、「海外マーケティング総合支援を行うデジタルマーケティング集団」株式会社LIFE PEPPERの代表取締役菅沼氏にインタビューをしてきました。過去の成功事例から、海外向けプロモーションをする際に気を付けるべき点、そして今後のインバウンド市場に対する展望を惜しみなく教えていただきました。
菅沼氏は東京生まれ、ご自身は日本と中国のハーフです。
高校まで中国で生活しており、大学から日本に移り、東京大学在学中に会社を立ち上げ、現在まで様々な企業の海外プロモーションを支援してきました。
プライベートの時間では、青島ビールをこよなく愛し、ニュースガジェットやカメラにも高い関心を持っています。
左:株式会社LIFE PEPPER 代表取締役 菅沼氏
右:株式会社LIFE PEPPER 執行役員 厚海氏
貴社の概要や事業内容について簡単にご紹介下さい。
2014年4月に創業し、本年2018年では5年目となります。創業メンバーも含め、ほとんどが帰国子女で構成されており、海外経験が非常に豊富なメンバーが集まっています。
今まで日本企業の海外展開をサポートしており、現在では主に3つの領域で事業展開を行っております。
まず1つ目に、海外向けローカライゼーション。
クライアントの商品が発する魅力を現地の言葉で伝える、その国で認知してもらえるブランディングをサポートしております。
地域別の特徴に合わせて最適なプランを提案し、それに伴うウェブページやECサイト制作も行っております。
2つ目に、リサーチ・市場調査。
多言語を自由に操れるメンバーを多い事から、外国人に向けてディープなインタビューを実施できる事を強みにしています。
また外国人のネットワークを広く持っている為、クライアントのニーズに合わせた外国人インタビューをすることに長けています。
最後の3つ目として、インフルエンサーやリスティング広告を使った海外プロモーションをしております。
商品の認知や売上増加をする為に各媒体をフルに使ったプロモーション施策を実施しております。特徴として、基本的には企画・戦略設計から実施まですべて自社内メンバーでまかなっています。国によって文化が異なる為、それぞれの国の特徴に合わせて戦略を立てています。
今まで実施した海外向け施策で、最も成功したと事例を教えて下さい。
1つ目にインフルエンサーを使った小売点への集客施策が挙げられます。
過去に日本のとある大手小売店で台湾に向けた集客プロモーション施策を実施しました。
ユーザをそれぞれセグメント(ファミリー層、カップル層、女性等)に分けて、調査を行った上で、インフルエンサーによる集客施策を行いました。現地のインフルエンサーを10数名ほど日本に招待し、それぞれの層に適したインフルエンサーで記事作成をし、ブログとSNS両方で拡散施策も併せて実施した結果、12時間で3万以上のシェアを獲得しており、サイトへの流入数が数十万PVに達しております。
ブログ記事は半永久的に残っている為、今でも月に数十人を集客しており、効果が発しております。
2つ目に某化粧品メーカーEC上でのインフルエンサー施策です。
商品に関する記事をインフルエンサーにSNSやブログ上で投稿してもらい、ECサイトのページに遷移するようにしました。台湾人は口コミを非常に大事にしている為、インフルエンサーの記事を使うことで商品への信憑性も上がり、ECサイトでの購入につながりやすくなります。結果として、実施前と比べると購入率が2倍以上に上がり、CPAが70%を減少させる事ができました。
印象に残った取組として、社内で「脅威の食調査」と呼ばれる事例があります。
海外に向けて展開予定の企業からのご相談で、事前に消費者のニーズを確認する目的として、日本に来ている外国人観光客にインタビューし、300人規模で調査行いました。
帰国する予定の外国人を対象に、国別でその人が朝昼晩で何を食べているのか全て街頭インタビューして調査を行いました。
大掛かりな調査で非常に大変な思いはしましたが、消費者の本音やニーズを聞くことができ、満足度が高い調査でした。
インフルエンサーやネットワーク人員でのリソースが社内にある為、クライアントのご要望に合わせてリソースの最適な使い方を見つけ、現地の文化をローカライズした上でプランを提案しています。
海外向けにプロモーションを展開されている企業の施策実施時の注意点はありますか?
多くの企業は自社商品やサービスに対して非常に誇りを持っている為、プロモーションに対する「先入観」が強い傾向があります。企業側から見る魅力を訴求ポイントとしてアピールする企業が非常に多いです。「海外」と言っても範囲が非常に広く、地域によって商品に対して魅力に感じるポイントがまったく異なります。それを理解し、先入観を捨てて、国に合わせて最適なプロモーションをすることが必要となります。
商品やサービスの認知を上げていく為に、海外でのファンを増やす事が非常に重要です。
日本の企業は現地の日本企業を競合として挙げる事が多いですが、今や日本企業を競合として考えるではなく、現地の企業を競合として検討すべきです。まずは固定ファンを作り、口コミ等を使ってディープなコミュニケーションを繰り返していく事が大事です。
また、海外に向けた施策は時間をかけて企画を設計していく必要があります。
一回の実施で効果がすぐに表れない事は当たり前なので、小さい予算でPDCAを繰り返していくことで成功につながります。
今では海外進出をサポートする企業が増えており、海外進出を狙う為に支社を立ち上げる企業も多い中、何の施策をしたのかが重要ではなく、どうやって検証したのか、どうやって実施してきたことにフォーカスし、試行錯誤をしていくが重要になります。
今後のインバウンド市場に関する予測や自社での展開について教えてください。
2015年の「爆買い」する時から海外を意識していく企業が増えています。
台湾・韓国等の地域からの訪日観光客はリピート率が非常に高く、今後も海外に住んでいる方にとって、日本旅行が当たり前になってくる時代となります。日本に関する情報がありふれていく時代になり、その中でいかに商品やサービスの情報を海外の方に選んでもらうかが重要になります。今後は認知施策等の伝統的なプロモーション手法はもう効かない時代となる為、いかに商品やサービスをもっと身近に感じてもらい、ファンになって発信してもらうことが一番重要と考えています。
LIFE PEPPERでは、海外にいる方に向けてサンプリングでまず試してもらい、好きになってもらう為のサービスを実験的に行っています。サービス自体をメディアとして商品情報をリアルで届けていき、ファンの囲い込みを狙っていくことが狙いです。
取材を終えて
2020年に向けて各社での海外向け施策は必要不可欠になっていく中、日本と同じ方法で施策を行うと失敗する可能性が高く、対象とする国の消費者に合わせた方法選びが非常に重要になっていきます。このインタビューを通し、菅沼氏はこの考え方を多くの企業に伝えたいと語っておりました。
単発の施策で一時的な盛り上がりがあるものの、そのあとの効果を継続させるには、試行錯誤を繰り返し、時代や状況に合わせて戦略を臨機応変に変化させることが大切です。各地域の市場における最新状況を把握することは成功につながる第一歩だと感じました。
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chen
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