今回のインタビューでは、訪日インバウンドに特化したアプリ「GoJapan(去日本)」を企画・運用している株式会社ゴージャパンの代表取締役社長である劉璐氏に最新の日中広告市場の違いや中国市場向けプローションを実施する上で知っておきたいことについて伺いました。
Q1.日中広告市場の差についてどのように感じていますか?
日本では、テレビ広告がいまでも影響力が非常に高く、実施の結果がわかりやすくなっている為、企業側にとってプロモーションにおける予算を捻出しやすい状況です。オンライン媒体の動向として、最近ではTwitter、FacebookやInstagram等のSNS運用に注力している企業も増え始めています。
一方、中国のテレビでは、百以上のチャンネルが視聴出来る為、各番組の視聴率も日本と大きな差があります。テレビでのプローションに膨大な金額がかかる為、予算を多く持っている大手企業以外はあまり適していない状況です。最近では、インターネットの普及が著しく、ネット広告ややライブ中継が非常に強い影響力をもたらしています。主要消費者はテレビを見ていない為、企業のプロモーションはネットサービスを重視しています。お茶の間における主要媒体はテレビからネットに移り変わっています。
アプリ市場も非常に発達しており、世界でNo.1といっても過言ではない規模となっています。中国国内のインターネットネット環境が改善されている為、利用者がますます増えています。ほぼすべての人がスマートフォンを所持しており、日本人では想像がつかない市場規模になっています。生活のさまざまなシーンにおいて、スマートフォンが使われており、便利なツールにもなっています。WeChat Payやアリペイのようなスマートフォンの決済アプリが普及しており、出かける際に財布を持たなくなる人が増えています。
こういった背景から、最近の中国では、アプリを使ったプロモーションが多くなっています。中国では旅行のような特定の目的に合わせたアプリがよく見かける為、今後、それぞれの目的で狙ったターゲット向けに適切なプロモーションを行う事が重要になります。
Q2.中国市場向けプロモーションをする際にどこに注意すべきでしょうか。
日本では未だにテレビのプロモーションが主流となっているのに対して、中国の方はテレビを視聴する人は少ないです。情報収集の手段として最も一般的なのはインターネットとなっている為、中国市場向けプロモーションを行う際には、テレビでのプロモーションよりも、オンラインでのプロモーションに重点を置く必要があります。
Q3.現在の訪日中国人旅行者の傾向について教えてください。
爆買いは以前よりも衰えて来ているのは明らかです。電化製品やブランド品等は必要なものはすでに購入されている方が多いです。一方では、日用品は毎日必要なとなるので、継続的に増えていく傾向はあります。
中国国内の調査結果によると、中国人旅行客は旅マエでの事前リサーチが少なくなってきて、与えられた情報をそのまま受け入れる傾向があります。また、ユニークな情報や現地に人気なアイテムを好む人も増え、「買う」ことから「体験・癒しを求める」志向に移行しています。以前は1週間の旅行が平均的だったのに対して、今では土曜に来日し、翌日の日曜に帰国する人も増えている状況です。今後は日本のご当地で人気がある店舗やアイテムが大きな機会を持っていると見込んでいます。
Q4. 中国旅行者が訪日する際の情報収集手段について教えて下さい。
中国では、情報収集の手段として、インターネット上の旅行サイトや友人や親戚によるクチコミ、旅行代理店は現在でも一般的です。大手SNSであるWeiboで流行りのアイテムをチェックする人も多いです。
旅行には興味関心が高いけど、攻略を考えるのは手間に関している人も増えています。また、チケット買ってすぐ旅行に旅立ってしまう傾向がある為、以前のような買い物リストや念入りな事前調査をする人は減少してきています。日本語が少し理解できる人は日本のグルメサイトで掲載されているレストラン・スポットのレビューや星の数を調べて、簡単な旅マエ準備をしています。
Q5.訪日中国人旅行者が旅行する前にどのような情報を欲しいと思っているのか。
中国の大手攻略サイトでは日本旅行に関する情報があるものの、発信している情報には深さが足りないコンテンツが多いです。旅行記を見ても、ユーザー自分自身の旅行スケジュールにぴったりあてはまることは少ない為、不便に感じる人も一部存在しています。人気店よりも現地に住んでいる方に認められる店舗等がまとめてある情報網が欲しがっている人が多い為、情報の現地化が必要とされます。旅行客のリピーター化につれ、質の高い情報を今後欲しがる傾向があります。
Q6. 訪日向けの認知・集客プロモーションの現状についてどう感じていますか。
中国向けのプロモーションで誤解している日本企業が非常に多いと感じています。良いアイデアを持ち、お金を少しかけてプロモーションを実施すると、すぐに「爆買い」につながると思っている企業が少なくありません。中国で爆発な人気がある商品をみると、仕込まれているというよりも偶然なものが多いです。自社商品が人気になるには簡単ではないし、長期間で見込んでいく必要があります。現地人での目線から見て商品を売り出す事が重要である上、ローカライズでの企画も必要となります。そうすることにより人々に受け入れられ、拡散につながりやすいです。商品の企画内容とPRルート、タイミング多方面での打ち出しをさせる事が大切なので、持続性を持つことも必要です。
Q7.最後に一言
日本の企業様の商品はとても魅力があるので、商品自体の良さをもっと伝えるべきと思います。プロモーションする側もクライアントの商品やサービスを実際に体験し、味わい、深く熟知した上でプロモーションする事でさらに良さが伝わります。取材する事でクライアントと密にコミュニケーションし合い、より良いコンテンツ作りにつながる上、そこからさらなる拡散を期待できます。
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sai
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