中国主要メディア座談会Vol.3

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中国主要メディア座談会Vol.3~百度、WeChat、Weibo担当者に聞く、これからの訪日インバウンド戦略~

2020年に訪日外国人観光客数4,000万人を目指す日本。中でも中国からの訪日客は最も多く、2017年の訪日外国人観光客数2,869万人のうち735.6万人で全体のおよそ4分の1を占める割合だ。引き続き国内各社はさまざまな方法を用いて急ピッチでインバウンド対策を進めている状況が続いている。今回フルスピードは、訪日インバウンドに活用されている中国の主要メディア「百度(バイドゥ・Baidu)」「微博(ウェイボー・Weibo)」「微信(ウィーチャット・WeChat)」それぞれの担当者から、現状の訪日インバウンドの状況や、ユーザー動向、各メディアの戦略などを座談会形式でインタビューした。中国主要メディア3社が一同に集まり意見交換することは国内初の試みである。今後の訪日インバウンド戦略に役立つ情報として3回に分けて公開する。

スピーカー

・バイドゥ株式会社 国際事業本部 検索事業部
 中国ビジネスコンサルタント マネージャー 國井 雅史 様
・新浪日本微博株式会社 取締役副社長 松尾 昇 様
・Tencent Japan Business Development Dept. Manager 中島 治也 様
・株式会社フルスピード 訪日ビジネス開発部 部長 三島 悠輔

第1弾と第2弾はこちら>>>第1弾      第2弾


インタビュー

日本とは大きく異なる中国ネット市場。主要メディア3社の注力サービスは。

三島:各社の注力サービスを教えてください。

國井:Baiduではリスティング広告中国語サイトの診断サービス、そして中国アンケート調査サービスに注力しています。まず、検索広告の強化についてですが、特にリスティング広告とブランドリンク広告に注力しています。検索広告は能動的であるため、即時性が高くパフォーマンスが良いのが特徴です。
次に中国語サイトの診断サービスです。日本企業が運営する中国語サイトの約6割が、表示崩れや、表示速度の遅延、表示不可など中国でのサイト表示に問題を抱えております。日本国内では問題なく表示され閲覧できるため、クライアントも制作会社も、その事実を知らないままリリースしているケースが多々あります。そんな状態でプロモーションをおこなっても当然効果は出ないですし、そのまま出稿が終わり、パフォーマンスが悪いと酷評をいただくこともあります。
最もクリティカルな原因は、中国で利用不可のサービスをサイト内で使用していることにあります。中国ビジネスに携わるほとんどの方が、Google、Twitter、Facebook、LINEなどが中国で使用できないことをご存知だと思います。ただ、自社の中国語サイトで、これらのサービスを使っているかどうかを確認したことはあるでしょうか?本記事をご覧になられた読者は、是非ソースコードを確認してみてほしいです。
最後に、中国アンケート調査サービスです。プロモーションを検討されているクライアントで、中国マーケットの規模と自社商品・ブランドのポジションをしっかり把握できている方は非常に少ないと感じております。中国市場は、どの商品・サービス領域も日本人が想像する以上にレッドオーシャンです。その中でも、越境EC、インバウンドで日本製品に対するニーズがあるように、比較的ポジションが高いことは事実だと思います。ただ、プロモーションを実施する前に、自社の商品・ブランドが中国人に認知されているのかどうか、どのようなターゲットにニーズがあるのか、商品がマッチするのか、中国市場を捉えたうえで、戦略的にターゲティング設定やキーワード選定をするべきだと思っています。

中島:もっと中国の環境を理解する必要がありますね。例えばインターネットを利用する環境を比べても、日本よりも中国のほうが進んでいます。特にWeChat PayやAlipayなどの電子決済領域は圧倒的に日本と環境が違います。そういう事実を肌感として持っている企業や担当者は積極的に中国の状況を取り入れています。そうしていかないとインバウンドプロモーションを成功させるのは難しいのではないかと思っています。

三島:今のお話をインバウンド担当者の方が聞いたらヒヤッとするかもしれませんね、継続的に発信し続けていく必要がありますね。

インバウンド注力サービス

松尾:WeiboはKOLをたくさん抱えています。そのKOL達がWeibo内で情報発信して、アリババの運営するECサイトに誘導して商品を買ってもらうというプロモーションが2016~17年にブームになりました。約300~400万人ぐらいのファンをもっているKOLの女性が1日で数億円を売上げることもあります。その売上の15%が女性個人に入ってくるという仕組みです。日本でサラリーマンやっている我々は一体なんなんだと…。

一同:笑

松尾:このようにWeiboとアリババは戦略的に提携しています。EC用プラットフォームを我々が提供してユーザーの要望に答えていく、という仕組みづくりを実践しています。

三島:これから越境ECの展開を考えている企業をご支援いただけるということですか?

松尾:はい、もちろんです。

三島:例えば化粧品のプロモーションにKOLを活用する場合、ターゲットは20~30代の女性が多いと思いますが、40~50代以上のシニア層へ訴求したい場合にデジタルマーケティングを活用するのはどうでしょうか?

松尾:中国の40~50代以上のシニア層がインターネットを通じて商品を購入するようになるのは、今の段階ではまだ早いように感じます。現在の中国全体のインターネットの利用層で最も多いのは10代後半~30代半ばです。その上の年齢層をターゲットにしても、顧客自体がSNSを見ていない、使っていない場合が多くなります。

三島:顧客理解はやはり大事ですね。

松尾:そうです、「誰が使っているのか」を理解することが必要です。

中島:さっきのクオリティ・オブ・ライフの話でも、それを追求するのは20~30代の層ですね。娯楽やブランド品にお金を使おうと考えるのはその世代です。経済力の面でも消費意欲の面でも、ホットな年齢層ですね。

三島:テンセント様が注力していることは何でしょうか。

テンセント様の注力インバウンドサービス

中島:中国のプラットフォームはどんどん変化して活用方法もリッチになっています。素早い変化を日本のお客様にどうやって理解していただき情報に追い付いてもらうかが、1番の努力のしどころだと思っています。サービスを実際に使っていないお客様も多いため、お伝えするのが難しいのですが、それでも追いついていただかないと新しい商品も機能も気に入っていただけることはありません。

三島:我々もセミナーなどで中国のサービスについて実際の画面を使って説明するようにしています。それを記事化し、読んで理解していただけるようなコンテンツを少しずつ増やしていきたいと思います。

広告費全体の75%がインターネット広告!中国進出にはマーケット理解が必須。

三島:最後に、この記事を読んでくださっているインバウンド担当者さんへメッセージをお願いします。

百度様よりインバウンド担当者さんへのメッセージ

國井:まず、中国マーケットの特徴、日本との違い、そして自社の商品・サービスの強みをしっかり把握して、中国マーケットに向き合って欲しいと思います。アナログに感じる人も多いかと思いますが、アンケートは汎用性が高く、欲しい情報を聞けるので、判断材料として非常に使い勝手のいいマーケティングツールです。その結果を是非、プロモーション戦略に反映させてください。
次に、WEB上で計測ができて、どのプロモーションによって上がった、下がったかが判断できるKPI設定を考えてほしいです。ビジネスなので最終的には、売上にどれだけ貢献したかが重要ですが、インバウンド施策ではその計測が難しいケースがよくあります。その場合、計測できる何かを中間コンバージョンとして設定する必要がありますが、WEB上で計測できる内容であれば、PDCAも回しやすく改善にも取り組めます。
最後に、くどいようですが、貴社の中国語サイトが中国でどのように表示されているか、しっかり確認しましょう。当たり前のことですが、中国の環境でページが開かなければ、プロモーションは絶対にうまくいかないです!

三島:おっしゃるとおりですね。

國井:こちらは電通さんが発表された2017年の日本広告費内訳です。広告費のうち、インターネット広告が占める割合は約24%です。テレビは約30%を占めています。

2017年日本広告費の割合

こちらは2017年の中国広告費内訳です。iResearchさんが2016年の実績値を元に、2017年の数値を予測しているものですが、中国ではインターネット広告が約75%を占めています。一方、テレビは約20%です。このデータからも日本と中国ではメディアプランが異なること、インターネット広告への傾注具合が分かるかと思います

2017年中国広告費の内訳

さらに、インターネット広告の内訳を見てみると、ECモール内の広告が最も比率が大きく約32%、検索広告が約24%です

三島:この検索広告25%のうちの7~8割がBaiduでのシェアなんですよね。

國井:そうですね。中国での百度検索の利用率は約90%なので大体あっていると思います。リスティング広告は、中国でもスタンダードな手法として活用されていますので、中国向けのプロモーションを検討する際には、ぜひリスティング広告をメディアプランに入れてほしいです。国内でプロモーションをする際に、インターネット広告でGoogleやYahoo!のリスティング広告をはずすプランは考えにくいですよね。それと同じだと思います。また、中国はインターネット広告が主流の大規模マーケットです、ご予算配分もこの比率をベースに考えていただきたいと思います。。

松尾:まず中国はFacebook、Twitter、Instagram、YouTube、全て使えません。その代わりにWeiboという受け皿を作ってご利用いただきたいと思います。その受け皿は企業のHPの代わりにも活用いただけます。Weiboの中でインバウンド情報、日本の情報、EC情報も日々発信することができます。まずはアカウントを開設していただいて、そこから今後どういうふうに集客していくかを長い目で相談させていただければと思います。

中島:中国のマーケット、ツールの使い方、様々な特性に興味関心を持っていただき、理解を深めつつ、中国向けのプロモーション方針、論法、戦い方を決めていただきたいと思います。
中国マーケットは本当に特殊です。ですから「インバウンド対応」としてひとくくりにしてしまうのではなく、中国については個別に考えていかなければ攻略が難しいかもしれません。例えば、Webページを海外用に流用できるように作成して、プロモーションにもコストをかけたけれど中国だけ成果が上がらないというようなことは十分にありえると思います。チャンスも大きいけれど難易度も高い市場だということを理解していただき、腰を据えて取り組んでいただきたいと思います。

國井:全く同感です。「グローバル対応」から中国だけ抜き出して、「中国対応」として考えていただくのがよいと思います。最近、「越境ECでグローバルに展開していますが、中国だけうまくいかないです」という話をよく耳にします。中国のマーケット規模を考えれば、中国1カ国を単独で抜き出しても、十分、他国を束ねた“グローバル”と同等の規模感ですからね。むしろ、北京、上海、広州、重慶と地域ごとまで細かく見てほしいと思います。広州がある広東省だけでも日本と同じくらいの人口規模ですから。

三島:やはり片手間では難しい、本腰入れてやってみましょうというのがみなさんからの共通のメッセージですね。国内市場が縮小傾向にある状況で、これからも1億人のマーケットで戦うのかどうかという話になったとき、展開する国を増やすという戦略を考えるのは当たり前のことだと思います。その際、展開する先の国の人口が14億というのはかなり魅力的だと思います。
フルスピードがインバウンドプロモーションの相談を受けた際は、今回お話をうかがった百度・Weibo・WeChatのような中国を代表する媒体社がしっかりと支え、協力してくれる体制が整っていることを伝えながら、今後さらに中国インバウンドマーケットを盛り上げていきたいと思います。

本日はありがとうございました。

中国主要メディア座談会

【関連記事】

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sai

sai

日本語同時通訳専攻の在日中国人マーケター。 日本語・中国語言語能力を活かし、インバウンド事業を4年間携わってきており、約100社企業様にインバウンドプロモーションのプランニング支援。

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