過去記事「2020年中国越境EC市場のまとめ」でも紹介された通り、中国では膨大な越境EC市場がありまして、コロナを背景にさらにニーズが高まると予想されます。そのため、日本企業にとっても中国への商品販売のチャンスとも言えます。
中国越境ECに参入するためには、どんな課題があるかについて、「中国越境ECへの参入及びその課題」でも情報をご紹介いたしましたので、ぜひご参考になれれば幸いです。
今回は課題の一つである「物流」の中、重要な部分となる中国への輸出関税についてより詳しく紹介したいと思います。特に、2016年から越境EC税金制度が実施されて関税がどのように変化しているかをご説明いたします。
中国人消費者が海外商品を購入する方法
中国への輸出関税の種類を理解するためには、まずは中国人消費者がどんな方法で海外商品を購入できるかを理解することが必要です。
中国人消費者が海外商品を購入するには主に三つの方法があります。
①個人や海外サイトから直接購入
中国では、直接海外から商品を購入することを「海淘」といいます。主に、海外代理購入または転送会社との取引で実現しています。
海外代理購入の場合は基本個人から発送で、個人輸入商品として行いました。その場合、個⼈輸⼊として輸⼊時に⾏郵税が課税を納付することとなります。
行郵税が品目により15%、30%、60%の3段階で課税されます。ただし、購入額が1,000元・税額50元以内の場合は免税となります。
勿論個人行為のため、税金の申告が不正規なケースも多いです。
②中国国内の輸入者から購入
その場合、中国輸出するためには一般貿易になります。ただ中国の一般貿易の検閲、申請制度が大変厳しく、ライセンス等で準備期間が非常に時間かかります。また、一般貿易ですと、ある程度ロット数が必要で、中国流通している商品ではないと最初が難しいと思われます。
また、輸入ルートが不明のため、場合によって商品・サービスの正規性を疑う消費者も少なくありません。
③越境ECから購入
2016年4月8日から、中国はEC小売り輸入税政策を公表しました。越境EC商品は一定の金額の枠内で、輸入関税の税率を0%、増値税および消費税は70%とした優遇措置(電商税)を設けました。越境ECの通関ハードル・コストを下げることで、越境ECという新たなビジネスを活用する側面、代理購入の取締が目的とみられております。
②に比べて、企業様から直接個人に輸出することになるため、小規模でも始められます。多くの日本企業様に活用されるかと思われます。
その場合の関税はどうなっているでしょうか、次の節で概要をまとめてご説明いたします。
中国向け越境EC物流モデル
中国向け越境ECの物流モデルは主に二つがあります。直送モデル、保税区モデルです。それぞれの関税を比較してみましょう。
モデル | 直送モデル | 保税区モデル |
内容 | 消費者から越境ECサイトの注文が入る度、⽇本から商品をEMS等の国際宅配便 を利⽤して消費者に直接配送する⽅法 | 貨物を一括して保税区での倉庫に運送し保管しておき、注文が入ると保税区倉庫から配送する方法 |
フロー | メーカー→国際物流→通関→中国国内配送→消費者 | 保税区倉庫→通関中国国内配送→消費者 |
税金 | 行郵税
購入額1,000元・税額50元以内の場合につき免税対象 品目は輸入可能な品目全般 |
越境ECの電商税
関税の税率を0%、増値税および消費税は70%とする 越境EC小売輸入できる商品の品目のみ (ポジティブリスト) |
メリット | 倉庫のコストがなく、柔軟に対応できる | 配送時間が短い、返品が便利 |
デメリット | 配送時間が長い、返品が不便 | 倉庫コストがかかる |
※上記二つのモデルはすべて個人輸入向けですため、1回の取引金額5,000元以内、かつ、個人の年間取引金額合計2万6,000元以内の規定があります。それ以上を超えると、一般貿易で輸出を行うことになります。
直送モデル、保税区モデルにはそれぞれメリット・デメリットがあります。簡単に言えば、直送モデルは初期段階、まだ流通が少ないテストマーケティングに適用できると思われます。一方、ある程度流通量ができてから、安定した物流、通関のできる保税区モデルで選ぶことをおすすめします。
中国向け越境ECの関税仕組みについて少しポイントを押さえ、ご理解を深めていただきましたでしょうか?
もし、本格的に中国向け越境EC売り場の構築を検討される場合は、ぜひ「Tmall出店以外にも中国ECに進出する方法がある!」をご参照くださいませ。
中国越境ECサポートについて、お気軽にお問い合わせくださいませ。
sai
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