今年の2月4日から2月10日までは中国の春節休暇です。中国の春節の習慣として、年夜饭(大晦日の晩御飯)、春晚(春節聯歓晩会)、紅包(ラッキーマネー)が挙げられます。
今回、過ぎ去った2019年中国春節期間中、電子紅包の活用状況から中国モバイル決済の市場全体についてご紹介します。
★2019中国春節期間中における電子紅包(電子マネーのお年玉)の規模
春節期間中、中国の先端IT企業である「百度(バイドゥ、Baidu)」は164億円、決済サービス「支付宝(アリペイ)」は82億円の春節紅包を配っていました。また、WeChat経由の紅包の送受信ユーザー数が8.23億人にも達しています。
お年玉の習慣が根強い中国では、キャッシュのお年玉が電子紅包(電子マネーのお年玉)に移行しつつあります。春節紅包の変化よりも中国でモバイル決済の浸透が非常に強く、国民がモバイル決済に非常に依存していることがわかりました。
★中国日常生活におけるモバイル決済の浸透
先日、私自身春節に帰国しており、中国の口座を持っていないため、モバイル決済を利用できず不便だったことを肌で実感していました。例えば、北京空港で自販機を利用しようと思ったところ、支付宝しか対応していないことで、購入できませんでした。また、友人の結婚式に参加した際に、祝儀金を「微信支付(ウィーチャットペイメント)」で送金している人もかなりいる話を聞いておりました。モバイル決済が主流になっている現在、中国人の消費スタイルも変化しております。
近年、中国では都市部だけではなく地方までモバイル決済が普及し、キャッシュレス社会になっております。モバイル決済のツールとして、主に「支付宝(アリペイ)」と「微信支付(ウィーチャットペイメント)」の利用が最も多いです。スマートフォンと交通カード、この2つさえ持っていれば本当に財布なしで生活できるようになっております。モバイル決済の普及により、極端に現金を使うことが少なくなってきており、むしろ店によっては現金での決済が嫌がられたり、或いは、現金自体受け付けられていなかったりすることもあります。
★中国のモバイル決済の市場現状
中国では驚くほどモバイル決済が浸透しており、どこにでもあるほど決済QRコードが設置されています。また、送受金も電子マネーで完結している方が多数です。
艾媒咨询(経済領域の数値調査と分析に特化した機構)の調査結果により、2017年中国のモバイル決済ユーザー数が5.62億人で、2016年より21.6パーセント増、2018年モバイル決済ユーザー数は6.5億人に遡る見込みです。艾媒咨询によると、モバイル決済の市場が徐々に安定してきており、今後ユーザー規模が緩やかに増加すると予測されております。
★観光事業における中国でモバイル決済の活用例
2017年10月10日、故宫博物館は毎日8万枚のチケットをすべてネット販売し、現場販売を行わないと発表しています。販売場所に大量のQRコードを設置し、従業員全員もQRコードを携帯しています。毎日平均15,000~20,000人がモバイルにてチケット購入可能となり、販売窓口30個ピーク時の販売工数と相同です。
いま中国の観光スポットはほとんどQRコードを設置しており、現金のみの利用はありえないと言われています。
★中国モバイル決済の海外活用
ご存知の通り、中国国内のキャッシュレス化がかなり進んでおります。一方、海外における中国人のモバイル決済はどうなっているでしょうか。
「支付宝(アリペイ)」が発表している2018年5月1日労働節休暇時海外における中国人のモバイル決済状況を紹介します。
労働節休暇時の消費地として人気な場所は中国香港、マカオ、日本となっております。香港での「支付宝(アリペイ)」ユーザー利用数は2017年の約2倍となっております。倍増の理由としては2018年より,「支付宝(アリペイ)」が香港でのビジネスを加速しているからだと考えられます。
また、海外においてもモバイル決済の利用範囲は従来のショッピングに止まらず、飲食、タクシー、観光スポットまでに幅広くなってきています。
★日本において中国人向けのモバイル決済なんて必要?
観光庁より発表している訪日外国人消費額データをまとめました。2015年34,771億円、2016年37,476億円、2017年44,161億円、2018年45,066億円となります。インバウンド市場全体では東アジアが中心となり、中国が市場の4割を占めます。
上記通り中国では、スマートフォンを使った支払い、いわゆるモバイル決済が主流になっています。買い物のたびに小銭や紙幣を出すのは中国のスタイルからすると手間がかかります。また、中国の人民元を両替所で日本円に換金するよりも、スマートフォン決済おけるレートが優遇されることが多いことから、現金決済への不満を持つ中国人は少なくありません。日本の小売店や飲食店、観光スポットなども訪日中国人のスマートフォン決済への対応は集客につながるはずです。
★日本における中国モバイル決済の導入例
大手コンビニチェーンのローソンは、2017年1月24日から全店舗(約13,000店)で「支付宝(アリペイ)」の取り扱いを開始し、導入から13日間の利用状況を発表しました。それによると、2月5日までの累計利用件数が5万2,000件を超えており、観光客数の多い札幌・東京・大阪・京都・福岡・沖縄を中心に、全都道府県の店舗で利用実績が確認されています。購入商品は牛乳やおでん、肉まん、飲料水など、日本滞在中に消費される商品が中心でしたが、平均客単価は800円~900円で、ローソン全体の約1.6倍と高額になったことも特徴的です。
「支付宝(アリペイ)」国際事業部のダイレクター陳 嘉轶さんは世界各地でモバイル決済ブームを迎えており、「支付宝(アリペイ)」だけでも40以上の国・地域に浸透し、2019年の春節期間に世界100のビジネス地区は、中国人観光客にとって「財布を携帯しない」目的地にリードしていると言っています。また「微信支付(ウィーチャットペイメント)」は49ヶ国・地域、16種類の通貨取引を支持しており、中国人の海外観光に大きく利便性を提供しています。その中、20代の人が海外消費の主力となっており、支払い件数は4割以上を占めています。
この記事をお読み頂いた方に中国のモバイル決済そして世界各地への浸透について改めて実感していただけますと幸いです。
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